オツベルときたら大したもんだ。

オツベルと象

おつべるとぞう

宮沢賢治

オツベルと象宮沢賢治

『オツベルと象』(宮沢賢治)の書き出しは『オツベルときたら大したもんだ。』です。

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書き出し全文515字

オツベルときたら大したもんだ。稲扱器械の六台も据えつけて、のんのんのんのんのんのんと、大そろしない音をたててやっている。

十六人の百姓どもが、顔をまるっきりまっ赤にして足で踏んで器械をまわし、小山のように積まれた稲を片っぱしから扱いて行く。藁はどんどんうしろの方へ投げられて、また新らしい山になる。そこらは、籾や藁から発ったこまかな塵で、変にぼうっと黄いろになり、まるで沙漠のけむりのようだ。

そのうすくらい仕事場を、オツベルは、大きな琥珀のパイプをくわえ、吹殻を藁に落さないよう、眼を細くして気をつけながら、両手を背中に組みあわせて、ぶらぶら往ったり来たりする。

小屋はずいぶん頑丈で、学校ぐらいもあるのだが、何せ新式稲扱器械が、六台もそろってまわってるから、のんのんのんのんふるうのだ。中にはいるとそのために、すっかり腹が空くほどだ。そしてじっさいオツベルは、そいつで上手に腹をへらし、ひるめしどきには、六寸ぐらいのビフテキだの、雑巾ほどあるオムレツの、ほくほくしたのをたべるのだ。

とにかく、そうして、のんのんのんのんやっていた。

そしたらそこへどういうわけか、その、白象がやって来た。白い象だぜ、ペンキを塗ったのでないぜ。

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奥付

作品
オツベルと象(おつべるとぞう)
作家
宮沢賢治(みやざわ けんじ、1896–1933)
底本
「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
引用
書き出し515字。青空文庫の本文を底本どおりに引用(くの字点のみ縦書き用の字に置換)

宮沢賢治

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