よだかは、実にみにくい鳥です。

よだかの星

よだかのほし

宮沢賢治

よだかの星宮沢賢治

『よだかの星』(宮沢賢治)の書き出しは『よだかは、実にみにくい鳥です。』です。

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書き出し全文524字

よだかは、実にみにくい鳥です。

顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。

足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。

ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。

たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方へ向けるのでした。もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもよだかのまっこうから悪口をしました。

「ヘン。又出て来たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」

「ね、まあ、あのくちのおおきいことさ。きっと、かえるの親類か何かなんだよ。」

こんな調子です。おお、よだかでないただのたかならば、こんな生はんかのちいさい鳥は、もう名前を聞いただけでも、ぶるぶるふるえて、顔色を変えて、からだをちぢめて、木の葉のかげにでもかくれたでしょう。ところが夜だかは、ほんとうは鷹の兄弟でも親類でもありませんでした。かえって、よだかは、あの美しいかわせみや、鳥の中の宝石のような蜂すずめの兄さんでした。

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奥付

作品
よだかの星(よだかのほし)
作家
宮沢賢治(みやざわ けんじ、1896–1933)
底本
「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
引用
書き出し524字。青空文庫の本文を底本どおりに引用(くの字点のみ縦書き用の字に置換)

宮沢賢治

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