町も、
野も、 いたる ところ、 緑の 葉に 包まれている ころでありました。
月夜と眼鏡
文庫・Kindle版
小川未明童話集 赤いろうそくと人魚・野ばらなど 100年読み継がれる名作(PR)Amazonアソシエイトのリンクです
町も、野も、いたるところ、緑の葉に包まれているころでありました。
おだやかな、月のいい晩のことであります。静かな町のはずれにおばあさんは住んでいましたが、おばあさんは、ただ一人、窓の下にすわって、針仕事をしていました。
ランプの灯が、あたりを平和に照らしていました。おばあさんは、もういい年でありましたから、目がかすんで、針のめどによく糸が通らないので、ランプの灯に、いくたびも、すかしてながめたり、また、しわのよった指さきで、細い糸をよったりしていました。
月の光は、うす青く、この世界を照らしていました。