町も、野も、いたるところ、緑の葉に包まれているころでありました。

月夜と眼鏡

つきよとめがね

小川未明一九二二

月夜と眼鏡小川未明

『月夜と眼鏡』(小川未明、1922年)の書き出しは『町も、野も、いたるところ、緑の葉に包まれているころでありました。』です。

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町も、野も、いたるところ、緑の葉に包まれているころでありました。

おだやかな、月のいい晩のことであります。静かな町のはずれにおばあさんは住んでいましたが、おばあさんは、ただ一人、窓の下にすわって、針仕事をしていました。

ランプの灯が、あたりを平和に照らしていました。おばあさんは、もういい年でありましたから、目がかすんで、針のめどによく糸が通らないので、ランプの灯に、いくたびも、すかしてながめたり、また、しわのよった指さきで、細い糸をよったりしていました。

月の光は、うす青く、この世界を照らしていました。

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