富士の頂角、広重の富士は八十五度、文晁の富士も八十四度くらゐ、けれども、……

富嶽百景

ふがくひゃっけい

太宰治一九三九

富嶽百景太宰治

『富嶽百景』(太宰治、1939年)の書き出しは『富士の頂角、広重の富士は八十五度、文晁の富士も八十四度くらゐ、けれども、……』です。

246字約25秒で読めます

文庫・Kindle版

走れメロス(新潮文庫)(PR)Amazonアソシエイトのリンクです

書き出し全文246字

富士の頂角、広重の富士は八十五度、文晁の富士も八十四度くらゐ、けれども、陸軍の実測図によつて東西及南北に断面図を作つてみると、東西縦断は頂角、百二十四度となり、南北は百十七度である。広重、文晁に限らず、たいていの絵の富士は、鋭角である。いただきが、細く、高く、華奢である。北斎にいたつては、その頂角、ほとんど三十度くらゐ、エッフェル鉄塔のやうな富士をさへ描いてゐる。けれども、実際の富士は、鈍角も鈍角、のろくさと拡がり、東西、百二十四度、南北は百十七度、決して、秀抜の、すらと高い山ではない。

この続きは青空文庫で

奥付

作品
富嶽百景(ふがくひゃっけい)
作家
太宰治(だざい おさむ、1909–1948)
初出
「文体」、1939年
底本
「筑摩現代文学大系 59 太宰治集」筑摩書房
引用
書き出し246字。青空文庫の本文を底本どおりに引用(くの字点のみ縦書き用の字に置換)

太宰治

同じ作家の書き出し

太宰治の作品一覧