年中借金取が出はいりした。

夫婦善哉

めおとぜんざい

織田作之助一九四〇

夫婦善哉織田作之助

『夫婦善哉』(織田作之助、1940年)の書き出しは『年中借金取が出はいりした。』です。

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書き出し全文239字

年中借金取が出はいりした。節季はむろんまるで毎日のことで、醤油屋、油屋、八百屋、鰯屋、乾物屋、炭屋、米屋、家主その他、いずれも厳しい催促だった。路地の入り口で牛蒡、蓮根、芋、三ツ葉、蒟蒻、紅生姜、鯣、鰯など一銭天婦羅を揚げて商っている種吉は借金取の姿が見えると、下向いてにわかに饂飩粉をこねる真似した。近所の小供たちも、「おっさん、はよ牛蒡揚げてんかいナ」と待てしばしがなく、「よっしゃ、今揚げたアるぜ」というものの擂鉢の底をごしごしやるだけで、水洟の落ちたのも気付かなかった。

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奥付

作品
夫婦善哉(めおとぜんざい)
作家
織田作之助(おだ さくのすけ、1913–1947)
初出
「海風」、1940年
底本
「ちくま日本文学全集 織田作之助」筑摩書房
引用
書き出し239字。青空文庫の本文を底本どおりに引用(くの字点のみ縦書き用の字に置換)

初出 1940年の前後

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