高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。

高瀬舟

たかせぶね

森鴎外一九一六

高瀬舟森鴎外

『高瀬舟』(森鴎外、1916年)の書き出しは『高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。』です。

344字約35秒で読めます

文庫・Kindle版

山椒大夫・高瀬舟 森鴎外集 (古典名作文庫)(PR)Amazonアソシエイトのリンクです

書き出し全文344字

高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。徳川時代に京都の罪人が遠島を申し渡されると、本人の親類が牢屋敷へ呼び出されて、そこで暇乞いをすることを許された。それから罪人は高瀬舟に載せられて、大阪へ回されることであった。それを護送するのは、京都町奉行の配下にいる同心で、この同心は罪人の親類の中で、おも立った一人を大阪まで同船させることを許す慣例であった。これは上へ通った事ではないが、いわゆる大目に見るのであった、黙許であった。

当時遠島を申し渡された罪人は、もちろん重い科を犯したものと認められた人ではあるが、決して盗みをするために、人を殺し火を放ったというような、獰悪な人物が多数を占めていたわけではない。高瀬舟に乗る罪人の過半は、いわゆる心得違いのために、思わぬ科を犯した人であった。

この続きは青空文庫で