虔十はいつも繩の帯をしめてわらって杜の中や畑の間をゆっくりあるいてゐるのでした。

虔十公園林

けんじゅうこうえんりん

宮沢賢治

虔十公園林宮沢賢治

『虔十公園林』(宮沢賢治)の書き出しは『虔十はいつも繩の帯をしめてわらって杜の中や畑の間をゆっくりあるいてゐるのでした。』です。

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書き出し全文330字

虔十はいつも繩の帯をしめてわらって杜の中や畑の間をゆっくりあるいてゐるのでした。

雨の中の青い藪を見てはよろこんで目をパチパチさせ青ぞらをどこまでも翔けて行く鷹を見付けてははねあがって手をたゝいてみんなに知らせました。

けれどもあんまり子供らが虔十をばかにして笑ふものですから虔十はだんだん笑はないふりをするやうになりました。

風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十はもううれしくてうれしくてひとりでに笑へて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしながらいつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立ってゐるのでした。

時にはその大きくあいた口の横わきをさも痒いやうなふりをして指でこすりながらはあはあ息だけで笑ひました。

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奥付

作品
虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)
作家
宮沢賢治(みやざわ けんじ、1896–1933)
底本
「新修宮沢賢治全集 第十一巻」筑摩書房
引用
書き出し330字。青空文庫の本文を底本どおりに引用(くの字点のみ縦書き用の字に置換)

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